尺骨遠位成長板早期閉鎖

こんにちは☀️

病院の近くに“19時のご褒美”というスイーツのお店ができたみたいで

ソワソワしている獣医師の岩屋です🍨

今回はタイトルのように犬の前足に起こることが多い病気のお話です🦴

タイトルの言葉だけ見ると漢字が多く読む気が失せますが、

上海蟹炒飯野菜盛醤油味”の意味が分かるのと同じように理解がきるようになると思いますので

最後までお付き合いください🍚

解説:

まずこの病気をざっくりいうと、
腕を構成する2本の骨の一方の成長が止まってしまい大変になるという病気です。

私たち人間の腕も2本の骨、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)で構成されています。

成長期の過程で、骨の両端にある成長板”から軟骨細胞が増えることで骨が伸び腕も長くなっていきます。

医療では身体に近い方を近位(きんい)、遠い方を遠位(えんい)ということから

尺骨“遠位”成長板とは、尺骨の身体から遠い方(手首側の)成長板のことを言っています💡

ここが、早期閉鎖するということは?

尺骨の成長が思うようにいかかず、骨が伸びていきません。

そしたら何が起こるのか?

一緒に切磋琢磨し伸びていく筈だったもう一方の橈骨はびっくりするわけですね💦

びっくりはしますが待ってはくれません。
橈骨は通常通りに伸びようとする訳ですから、、、大変なことになります(一旦ここはざっくり笑)

実際の症例:

まずはこちらの写真をご覧下さい⬇️

MIX犬 9ヶ月齢

正面から見た際に患肢(左前足)のような特徴的な外貌をとることが多いです。

4ヶ月のミニチュア・ダックスフンド

⬆️

青丸部分が早期に閉鎖したと思われる尺骨の成長板です🔵

尺骨の成長の75~85%は遠位の成長板に依存していると言われています。

尺骨の成長が止まってしまったことで、

抵抗がある状態で伸び続けてしまった橈骨は赤線のようにかなり湾曲しています。

生じる問題はそれだけにとどまりません。正面からの写真もご覧下さい⬇️

4ヶ月のミニチュア・ダックスフンド

黄色丸で示された箇所は伸び続けている側の骨(橈骨の近位端)です。

今にも完全に脱臼しそうな状況なのが分かると思います。

このままの状態で成長を続けると完全に脱臼する可能性が非常に高いです。

橈骨と尺骨の成長速度の違いにより起こる数々の問題

・肘の疼痛・関節炎
・前肢の変形や跛行
・内側鈎状突起分離(FCP)

治療

大きく2つに分けて考えます。

骨の成長能力がかなり残っている場合(生後5~6ヶ月齢未満)➡️橈骨の成長を継続させる治療尺骨骨切り、伸延術

骨の成長が停止している場合➡️骨本来の形状へ戻すこと、疼痛緩和や進行抑制を目的とした治療(橈骨の変形矯正、(亜)脱臼の整復、尺骨骨切り

実際に尺骨の斜め骨切り術を行った症例

症例によっては2回に分けて手術を行う場合もありますし、手術自体は適応とならないケースもあります。

成長期の早い段階での手術により骨の変形や歩行障害を防げるケースがありますので

心当たりのある方はぜひ診察にて、ご相談下さい。セカンドオピニオンも受け付けております。

※当院は予約優先制です。診察をご希望の方は事前にご連絡いただけますようお願い致します。
TEL 072−350−5831

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